森達彦プロファイル

森達彦 サウンドエンジニア、プログラマー

日本を代表するシンセプログラマーとして数々のアーティスト達の音を作り出す。この人の音がしない邦人アーティストのアルバムはない!という逸話まで出るほど。
1990年より宇田川町の自身の事務所を兼ねたプライベートスタジオ(501スタジオ)で渋谷系のはしりともいえる音をエンジニアとして作り出す。(クルーエル、エスカレーター等)

プログラマー歴
洋楽では、ノーランズ、ピエールポルト、アラベスク、ドン、グルーシン他
邦楽ではおニャン子クラブからムーンライダース、チャゲアスまで。

エンジニア歴
ラブタンバリンズ全作品・・・ミックスエンジニア
カヒミカリィ(クルーエル作品)・・・ミックスエンジニア
野宮真貴・コーネリアス
エスカレータレコードコンピレーション・・・エンジニア
ギャングウェイ「クウァイアトエディット+」・・・プロデュース/エンジニア
Eri(Toyユs Factory)・・・プロデュース/エンジニア
Sheen・・・プロデュース/エンジニア
ムーンライダース・・・エンジニア
coba・・・プログラマー/エンジニア
パレード・・・エンジニア 他

「今、一番やりたい仕事は自分を持ったアーティストとがっぷり四つに組んだ音作り。」

ラヴ・タンバリンズのレコーディングスタッフ、ミキサーとして集まった森達彦、竹田雅一、山岡広司の3人が、プロデューサーユニットという形でデビューする事になった。
デビュー・シングル「PLATONIC FOOL」ではヴォーカルに元エレガントパンクのSAORIとギターにスミダシュン(飛鳥涼のレコーディングスタッフ)を配し、技巧とポップ性が絶妙のバランスでからみ合ったユニークな作品になっている。
森、竹田、山岡の3人の名は実はミュージシャンやレコード会社の制作セクションの人達の間ではかなり知れわたっており、一歩先の音を目指そうとする人達からの仕事のオファーが殺到していてなかなか大変という状態なのである。ラヴ・タンバリンズのCDで聞けるような「ローファイなハイファイ感」とも言うべき飾りのないしかも豊かな音の打ち出しは、メジャーなレコード会社から出るCDでは聞けないものであり、クルーエルというインディーズ・レーベルが注目を集めるにしたがって、そのサウンドが市民権を得たどころか、羨望の的となったわけである。
さて、このCDで聞ける音は、いわゆる彼らが今までアピールしてきた音作りとは、むしろ正反対であると言える。オープニングからいきなりエフェクテッドギターとサンプリング音の洪水だ。サウンドプロデューサーチームならではの計算し尽くされた構成で圧倒的な音のディズニーランドを作り上げている。
これが彼らの本領なのか、それとも一流の裏切りなのか、それとも新しい一歩なのか、その辺は第2弾・第3弾のリリースで徐々に明らかにされていくだろう。
僕が感じた印象は、イギリスのZTTレーベルと姿勢が似ているな、ということ。人工的な情勢サウンドにウンザリしていた80年代に、あえて人工の痛みのようなZTTサウンドを打ち出し、アート・オブ・ノイズやプロバカンダをメジャーヒットに送り出し、老体イエスをよみがえらせたZTT清貧の思想そのものだった。
当時のイギリスのインディーズ・レーベルの一枚上手を行く痛快なアプローチだった。古着を探して小さな幸せに充足しつつある“渋谷系”をせせら笑うようなこの“ハイファイの洪水”には逆に新鮮さを感じてしまう。
趣味と実益をかねたアソビにしては攻撃的だし、アイデア勝負のトリック・スターにしてはバランス感覚が効いているし、どうもこの3人、かなりしっくりと構えて全面戦争をしかけようとしているに違いない。
ROCKINユ ON JAPAN 山崎洋一郎(1995年)