エフェクター
最初に仕事で使ったエフェクターは、ローランドコーラスアンサンブルCE1。次に同じくローランドスペースエコーRE301。ギター用エフェクターも各種、例えばモーレーのファズやディストーションなども持ち込んだがSNが悪くあまり歓迎されなかった。クライベビーは最後まで標準装備だったが、これはスキあらば、ギターの音をミック ロンソン化しようとの想いがあったからである。ワウをあるポイントで固定すると、なんとなくミックロンソン的な音になり、その後のシンセダビングが楽しくなるのだ。残念だがこれも却下される事が多かった。
ここ数年来、シンセはコンソール直ツナギで録っているが、95年くらいまではエフェクターを持ち込んでいる。最初にラックにマウントしたのはMXRピッチトランスポーザーと同30バンドグラフィックイコライザー。イコライザーは補整に使うのではない。端から順番に最大、最小と交互に設定してコームフィルターとして使う。思えばこの2台は最後までラックにあった。キング クリムゾンの来日時には、ロバート フィリップからPトランスポーザーを貸してくれと頼まれ(ナンテね)、ラックから抜いて提供した。当然愛着があり、外せるわけがない。
最終的には、12Uのラックが二つ。なんといっても自慢のエフェクターはE.E.W.特製のものだ。2種類のエキサイター、特製ノイズゲート、レスリーシュミレーター。エキサイターの2種類はハーモニックとフェイズ、前者はシンセブラスに抜群の効果があり、この音欲しさのアレンジャーもいたほどだ。レスリーは完璧に近いシュミレーションだったが、希望で超高速モードも加えてもらった。ゲートに関しては、勿論ゲートエコーをやるためだったが、スレッショルドを緩めに設定して、わざと音をチョチョ切る使い方も面白い。
E.E.Wとは永塚さんのワークショップである。永塚さんは富田勲さんのスタジオなどで、機材を作ったりメンテナンスをしたりする傍ら、依頼があると新しいものやフシギなものを自分で設計して組み立てる、つまり技術系エンジニアの人だ。試作するたびにユーザーと問題点改良点を話し合い、お互いが完璧に納得するまで絶対に妥協しない。このスタイルは常に一貫していた。僕は(何を依頼した時かは忘れてしまったが )横浜にほど近い永塚さんの自宅兼工房をたびたび訪ねたことがあった。お邪魔するたびにたいへん歓待されたうえ、夕食までご馳走になって随分恐縮した。音楽や楽器談義のあとは決まって映画鑑賞に突入する。永塚さんはマイナー系名画のコレクターでもあった。僕が見せられた作品も、主人公が何故か洗濯屋だったりする。しかもカメラアングルがかなり独特なものなので否応なく凝視せざるを得ないのである。惜しむらくは、コレクションの多くが数回のダビングを経たものだと思われ、若干画像に不鮮明さが確認されたが、ある意味そのことが アールヌーボォーである と同時に映画の価値を高めるのに貢献している、とも思われた。
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