記憶をたぐる

ムーンライダースは比類なきカルトバンド、このバンドに関わるのは公私で冥利だった。僕は土岐君の成長をフォローすることが、とりもなおさずムーンライダースをサポートすることだとハンマー設立当初から考えていた。ハンマー及びハムは「アニマルインデックス」から「ビザール フォー ユー」までのアルバムでコミットしているが、これをシンセサイザーの変遷という観点で聴くと、土岐君のオペレーションの進歩ぶりも同時に確認できる。むろん慶一さんたちからの指示による部分があるにしろ、聴く人が聴けば容易に判別できるはずだ。

僕はアルバム「ビザール〜」の中の一曲をミックスダウンさせてもらったが、その曲における土岐君のデータや音色の練り上げは、金輪際と言える素晴らしい仕事だった。ミックスをしながらも、音の一つ一つに感心しながら聴き入っていた。期待にたがわぬスーパーなプログラマーになったと感じる傍ら、なんだか誇らしくもあった。皮肉なことにプログラミングを極めたと思われたその直後にハムは解散してしまったが、彼がライダースのみならずプログラマー仕事からもリタイアしてしまったのが、返す返す残念である。